仙台の住宅 〜中庭とデッキテラス〜
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設計担当:納谷学、谷山裕一
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:片倉工務店
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構造形式:木造在来工法2階建て
竣工年月:2011年4月
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敷地面積:142.23㎡(43.02坪)
延床面積:87.63㎡(26.51坪)
1階床面積:54.97㎡(16.63坪)
2階床面積:32.66㎡(9.88坪)
北側道路に接道した住宅です。
南の隣家の影響を受けるため、1階をプライベートルーム、2階をLDKに設定しました。
北側の玄関を入ると、目の前に中庭とそれを囲むプライベートスペース、2階には南に大きく開口をとったワンルームのLDKが広がります。リビングスペースには吐き出しで出れるデッキテラスを設け、季節に関係なく日当たりの良いスペースが生まれました。
奥さんは中庭ではガーデニング、キッチンから家族が見渡せ、家族といつでもコミュニケーションが取れる仲の良い家族のための住宅が仙台にできました。
『2008年』のTEXTより抜粋
クライアント家族は、いわゆる転勤族一家。北は北海道、西は兵庫県と全国さまざまな都市を渡り歩いた末、安住の地として緑が多く生活しやすいとして宮城県の仙台市を選んだ。
そこで選んだ敷地は、仙台の中心部から北西、青葉区でも丘陵地側に位置する。
それは、数年前に小さな住宅地として分譲された一画で、ゆるやかな丘に上るようにあるその住宅地の奥、つまりレベルの一番高いところにある。だから、分譲地の場所によっては駅を眼下に見ながら遠く仙台の中心部がのぞめる。
はじめて敷地を見たとき、そんな敷地の特性を活かしながら光に溢れ、風がやさしく抜けていき、クライアントの日常の生活を豊かにするような提案が出来ればなあと考えた。
クライアントの要望はシンプルで、必要最低限のもろもろの諸室にパン教室ができるオープンなキッチン、それにガーデニングができるささやかな庭である。
当初は、庭とリビングが一体となった1階をLDKとするのが素直で無理のない計画と思ったが、2階は日当りがよく、この敷地の特性である仙台市内をのぞめる眺望も確保できるのではないかと考えた。そして、LDKを2階に南北にながい長方形の箱にして、見通しの良い長手の東側をなるべく解放し、西側には通りからのプライバシーを守りながら西日をコントロールし通気ができる横長の窓を用意することにした。
結果、奥さんが日常のほとんどの時間を過ごすLDKは、一日中明るく開放的で風通しの良い大きなワンルームを実現することができた。
1階にはガーデニングのための中庭を配し、中庭を挟むように個室を向かい合わせ、中庭の正面に玄関を位置づけた。玄関扉を大きく開放すると、西側道路(パブリック)と中庭(プライベート)がつながり街にも植栽が溢れ出す。
住宅は、もちろん個人の所有のものだが、一方で街並みを構成する大きな担い手の一つとなっている。つまり住宅を設計するという事は、街並みを設計することでもある。
だから、住み手と街を繋ぐ関係を真摯に考え、建築で豊かにする事がわれわれの使命であると考えている。