代沢1丁目PROJECT 〜街並みを取り込む〜
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企画販売:株式会社リビタ 野本有紀子
設計担当:納谷学、廣戸海斗
構造設計:高橋建築工房 高橋政則
施工会社:青木工務店 金子
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建物規模:地下1階 地上2階
構造形式:木造在来工法 一部RC造
竣工年月:2018年5月
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延床面積:120.90㎡(36.57坪)
地下1階床面積:8.69㎡(2.63坪)
1階床面積:59.21㎡(17.91坪)
2階床面積:53.00㎡(16.03坪)
このPROJECTは、市場に出回っている中古の戸建住宅を購入し、私たち設計事務所がリノベーションを施した後に、再び世の中に再販して送り出すという事業です。
計画は、既存の住宅の2階に使われていない小屋裏のスペースがあったので、2階の床の一部を持ち上げました。結果、1階の天井の高さは、既存の小屋裏分高くなります。
既存の床のレベルと持ち上げた床のずれで隙間が生まれ、1階と2階が繋がります。
また、既存の屋根は切妻屋根の連続で構成されていて、周辺の住宅と同じように連なって街並みを形成していました。住宅の多くは、内部で屋根型を感じることはありません。
そこで、街並みを作っている屋根型、つまり家型のアイコンをデザインのモチーフにすることにしました。
結果、住宅内の個々の部屋に自立性と統合性を持たせることに成功しました。
それは、現代の家族の在り方なのだと思います。
『2018年』のTEXT
「代沢一丁目の住宅」は、京王井の頭線・池ノ上駅から徒歩10分、静かな住宅地の一画に位置します。
既存の住宅は木造2階で、道路から1mほど高くなった角地に大きな家型の屋根のおおらかな構えで街に向いていました。ところが、内部は細かい部屋割りの上、平面に奥行きがあるため部屋の奥は暗く光が届いていませんでした。
そこで、この住宅の中心のスペースの2階の床を1mほど上にあげ、1階では天井の高い食堂を、2階は小屋裏をイメージさせる子供部屋に造りかえました。
1階の天井が高いため、開放的で光は部屋の奥まで届きます。
また、半階上がった吹抜けを介して1階と2階が繋がり、家族のミュニケーションが取り易くなりました。
家の前には広めのデッキを用意しました。道路より1mほど高くなっているため歩行者の視線が気になりません。食堂と連続したこのデッキは、この住宅をプライバシーを守りながら街へと開きます。
家の中心の部屋の周りには、いろいろな大きさの部屋が囲います。私たちはそれぞれの囲む部屋を個々の家に見立て、天井にさまざまな勾配の家型のデザインを施しました。天井の高いこの住宅の中心に向かって小さな家が囲いこむようなかたちです。最初に私たちが既存の住宅を見た時のあの大きな屋根の下に家族の小さな家が集まりました。