江戸川の住宅 〜高架前の解答〜
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設計担当:納谷学、大岡慎一郎
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:日商商事 渡井
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構造形式:地下1階 RC造、1階 SRC造、2・3階 鉄骨造
竣工年月:2005年4月
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敷地面積:198.63m²(60.08坪)
延床面積 : 284.51m²(86.06坪)
地階面積 : 127.75m²(38.64坪)
1階面積 : 60.73m²(18.37坪)
2階面積 : 59.95m²(18.13坪)
3階面積 : 36.07m²(10.91坪)
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掲載誌:『次世代の空間デザイン 21名の仕事』
敷地前には何本もの鉄道がはしる高架があります。
電車の音を遮り、電車と道路からプライバシーを守りながら住宅として光を享受して豊かな生活を確保したいと考えました。
地下1階はスタジオとラウンジ、地上3層は住宅として1階は猫フロア、2階はLDKと水周り、3階は個室となっています。
コンクリートと鉄骨を組み合わせ、地下は両側のドライエリアを計画し、地上階は、ファサードは開口部を極力おさえ、上部のFIX窓から得られるように計画して、電車の高架の音と振動の影響を少なくなるように計画しました。
『2006年』のTEXTより抜粋
敷地の南側には、道路を挟んで鉄道高架がはしっている。
通勤電車をはじめ貨物や特急も頻繁に走るこの高架からの騒音や振動を抑え、プライベートスタジオをもつ専用住宅が求められた。
我々はこの要求に対し、高架と平行な空間を断面的にスライドさせながら構成することで答を導き出すことを試みた。それは、この敷地における環境は、まさに高架と平行な関係の場において同様にリニアに変化すると考えたからだ。
つまり、断面構成による建築の構築を目指したのである。
具体的には、1階と地下1階はスタジオとそれに付随する施設を配置し、2階・3階を専用住宅とし、非日常的なスタジオからプライバシーが強い寝室まで、地下から3階に連続するように構成している。
地下のスタジオは、高架からの音を防ぐことは比較的難しくなかったが、地中から伝わる振動を抑えるために、躯体と仕上げの間に何層かのクッション材で軽減した。また、サロンに光を呼込み開放的なスペースを演出するため、サロンの両側にドライエリアを設けた。
住宅部は、3階の高架側にフィックスのガラスを二重にして遮音性と断熱性を確保した。3階からの光は、吹抜けを通し2階のリビングスペースに豊かな環境を提供する。
いずれも、高架側には直接の開口部を設けず、間接的に、あるいは高架とは反対側から換気を確保していて、それぞれのスペースの環境を整えている。結果、電車の車両のような空間が断面的にスライドして組み上がったような住宅に辿り着いた。