MEDIA POWER 〜部分から全体へ〜
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企画運営:(株)エム・アール・アイ
丹羽正和
設計担当:納谷学
電気設計:双葉設備
施工会社:パックシステム
家具製作:岸部木工所
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既存建物:鉄骨造ロードサイド店
設計範囲:フルリノベーション
開店年月:1995年9月15日
営業時間:12:00〜24:00
PHOTO :佐々木誠
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建築面積:350.95㎡(106.16坪)
店舗面積:689.89㎡(208.69坪)
1階面積:350.95㎡(106.16坪)
2階面積:338.94㎡(102.52坪)
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掲載誌:『商店建築 1997年3月号』
『商店建築 1997年3月号』のTEXTより抜粋
部分として機能しながら全体を支配する。
郊外型ロードサイドの衣料品店舗を全面改装して、メディア関連商品の小売店舗に生まれ変わることになった。この店舗が面する国道17号線沿いには、ファミリーレストランやカーディラーが軒を連ねる。本計画では建物全体を大きな看板に見立て、既存の2階の開口部をできるだけ閉じ、ガルバリウム鋼板の波板を貼ることで、国道からのアイキャッチを確保している(遠距離への配慮)。また1階部分はなるべくスケルトンにして走行中の車や歩行者が店の奥まで見渡せるようにした(近距離への配慮)。
1階はCDの輸入盤と邦盤、2階はレンタルビデオとゲームソフトの売り場になっている。それぞれの売り場の天井に造形的な特徴を持たせることで、離れていても売り場の位置がわかるように計画している。一つ一つの売り場のパターンの変化に終始するのではなく、あくまでも売り場の機能と連動していることに意味を感じている。いたずらに刺激的な空間を造ることがわれわれの使命とは考えていないからである。
陶磁器店「花背」(1993年11月号掲載)では、個別の単位空間を与えられたスペースに配置することで、店舗内部でポジティブな空間勝ち取ることを試みた。またパチンコ店「ジャイアント」(1996年3月号掲載)では、広いスペースの中の装置として個別空間の果たし得る役割に限界を感じ、ポジティブな個別空間と全体に流れる統一性(均一性)を同居させている。そして、「ジャイアント」と同規模のこの「メディアパワー」では、個別の売り場の部分(天井)によって、ポジティブでありながらどこまで店舗全体に統一性をもたらすことができるかを試みてる。つまり、部分が部分として機能しながら全体を支配する(統一させる)のである。この店がオープンして1年あまり、少しづつこのエリアでの地位を確立してきている。もっとも、全体を支配するにはもう少し時間が必要なようであるが・・・。
<社長のひとこと>
ロードサイドのショップですので、近隣の方だけではなく、熊谷や浦和といったところからもお客様はいらっしゃいます。客層は、CDショップは特に20歳代の男性が6〜7割と多く、輸入CDの売り上げが4割を占めます。
このショップは1号店ですので、アンテナショップ的な性格も持ち合わせています。ここでのノウハウを生かして埼玉県内をベースに店舗展開していく予定です。