PROTO plus 〜個性あふれる住戸の集合体〜
-
企画運営:プロトスタイル株式会社
設計担当:納谷学、相田宗徳、滝沢茂雄
構造設計:かい構造設計 寺門規男
設備設計:平本設備コンサルタント
平本久
施工会社:河津建設 佐藤雄亮
お問合せ:リネア建築企画
-
階 数:地上4階+PH
世帯数 :4世帯
駐車台数:2台
構造形式:RC扁平ラーメン構造
竣工年月:2009年1月
PHOTO :吉田誠
-
敷地面積:84.46m² (25.54坪)
延床面積:253.51m² (76.68坪)
1階床面積:64.78m² (19.59坪)
2階床面積:61.46m² (18.59坪)
3階床面積:58.31m² (17.63坪)
4階床面積:53.66m² (16.23坪)
R 階床面積:15.30m² (4.62坪)
-
掲載誌 :『LIVES』 vol.44 2009 APRIL&MAY』 『新建築 2009.08号』 『日経アーキテクチュア 2009.9.28号』 『家主と地主2010年10月号』
2003年に竣工した賃貸集合住宅『PROTO』の増築です。
PROTOは単身者のためのワンルームを基本にして、キューブの単位を積み重ね都市のファサードの可能性を提案しました。
そのPROTOに隣接した台形の変形した土地に、新しく集合住宅を計画することになりました。
私たちは、隣接する土地に単に新しい集合住宅をもう一棟造るのではなく、PROTOの共用部に新しい住戸を接続させて、共用部の面積とコストを抑え、広く個性豊かな4住戸を増築することを提案しました。
提案した住戸は、1・2階のメゾネットタイプが2住戸、3・4階はそれぞれワンフロアになっていて、PROTOの共用部を使い戸建てのように独立性を高めています。
デザインはPROTOの扁平ラーメン構造の形式をモチーフとして継承し、新しく個性あふれる4住戸を付加することで、更にバリエーション豊かな個性あふれる住戸の集合体として生まれ変えさせました。
新しい集合住宅は最初から増築を計画していたわけではありませんが、屋上を開放し住人が自由に使っている様子が見える時、私たちの提案が成功したと感じます。
クライアントはそのコンセプトを汲み取り、新しい集合住宅を『PLOTO plus』と名付けました。
『新建築 2009.08号』のTEXTより抜粋
〜増築という可能性〜
「プロトプラス」は、2003年に竣工した「プロト」(新井の集合住宅)の増築プロジェクトである。
「プロト」の計画時には増築計画がなかったため、今回の計画にあたっては、まずその増築の可能性を探ることから始まった。増築が出来れば、既存のEVや直通階段などを共用し、増築する部分は純粋に住戸の構成だけで済み、より豊かな住戸タイプ提案の可能性を持つ。
設備、電気等の増設はもちろんのこと、面積増加による区画、増築する住戸の避難方法と距離、建物全体にかかる日影規制、消防・・・等、増築するための様々な検証をした。
その結果、増築を含む建物全体にかかる日影規制より計画敷地にはおおよそ4層のボリュームが建つことが分った。
既存の「プロト」は扁平ラーメン構造を採用することで大きな開口部のデザインを実現したので、「プロトプラス」もまたその構造形式を踏襲することにして、既存とは軸方向を90度振った形で計画した。「プロト」が、ワンルームを中心とした様々なタイプの住戸を計画したのに対し、「プロトプラス」は既存より面積の大きい、やはり異なるタイプを4住戸用意することにした。
そうすることで、全体の計画自体の住戸タイプがさらに広がり、より多様な住人のニーズに応えることが出来る。
4住戸は、メゾネットタイプ2住戸とセンターコアを配したサーキュレーションタイプ2住戸で構成している。敷地が台形型をしているため、同じメゾネットタイプでも上下階の空間のボリュームのバランスが違い、異なる生活様式の提案をすることが出来る。また、4階のサーキュレーションタイプにはペントハウスを設け、ルーフ階にプライベートテラスの提案が出来た。そして、ペントハウスの反対側には、既存の「プロト」の住人も使えるルーフテラスを確保することが出来た。
集合住宅の増築計画において、単に部屋の増築だけではなく、既存の建物も豊かになってこそ意味があるように思う。